公開日: |更新日:
生きた昆虫に寄生した植物である冬虫夏草。このページでは、冬虫夏草を食用とする際に気になる味やにおい、調理方法などについて紹介しています。食材としての冬虫夏草について知りたい方はぜひチェックしてみてください。
冬虫夏草は漢方薬だけでなく、薬膳料理の食材としても使用されているキノコです。そうなると、気になるのは味と匂い。まずかったり臭かったりしたら、いくら身体に良い食べ物であっても口に入れたくありませんからね。
虫から生えているキノコという特徴や漢方薬の材料というイメージのせいで、なんだか苦そう・臭そうといったクセの強いイメージを持っている方もいるようですが、実は冬虫夏草には味もにおいもほとんどありません。実際に冬虫夏草を食べた人の中には、キノコらしい旨味や風味を感じたという人もいるようですが、調理してしまえば他の食材や調味料によってかき消されてしまうでしょう。
また、時間を掛けて煮込んでもあまり柔らかくならず、食感が良いということもありません。料理の味を邪魔するようなことはないが、特においしいものではない、というのが大半の方の意見のようです。
冬虫夏草がどのように食べれられているのか、代表的なものをご紹介します。
冬虫夏草は中国で大切に扱われてきた食材。食用として使用する際には、宿主である虫の部分も含めて丸ごと乾燥させて使用します。冬虫夏草を使った料理で最も広く知られているのは、四川料理の「虫草鴨子(チョンツァオヤーズ)」。これは、乾燥させた冬虫夏草をお湯で戻し、アヒルのお腹に詰めてネギ、生姜、紹興酒などで煮込んだもの。そのほか、雄牛の生殖器やスッポンなどと一緒に冬虫夏草を煮込んだ料理なども有名。
かつては宮廷料理の食材として珍重されてきた冬虫夏草ですが、中国では現在もさまざまな薬膳料理に用いられています。
韓国では「八卦湯(パルガタン)」と呼ばれる料理に冬虫夏草を用います。この料理はかつて宮廷料理として供されていたとのことで、韓国の人気宮廷ドラマにも登場しています。亀やネギ、ショウガなどと一緒に冬虫夏草を煮込んだスープのようですが、現在、パルガタンを提供している韓国料理店は見当たりません。元々は中国で生まれた料理だという話もありますが、作り方なども含め、あまり詳しい情報は出回っていないようです。
冬虫夏草を漬け込んだ、いわゆる冬虫夏草酒というお酒もあります。人気の芋焼酎「黒霧島」で知られる霧島酒造からも、黒霧島に冬虫夏草を漬け込んだ「金霧島」という商品が発売されて注目を集めました。冬虫夏草自体にはほとんど味がないため、日本酒や焼酎、ウイスキー、ホワイトリカーなど、さまざまな種類のお酒と組み合わせることができます。
商品としての流通量は少なく、気軽に購入するのは難しいため、自分で材料を用意して漬け込んでみるのも良いかもしれません。その際、ベースとなるお酒については防腐性や浸透効率を考慮して、アルコール度数が30度以上のものを選ぶようにしましょう。
冬虫夏草は、昔から漢方薬の生薬として用いられています。鎮静剤や鎮咳薬、病後の衰弱の改善、免疫の増強、疲労回復などさまざまな面で効能があると言われています。
飲み方は、冬虫夏草を細かくして、お湯で煎じて飲むという方法が一般的。粉末状に加工されているものであれば、そのままお湯に混ぜて飲むことも可能です。冬虫夏草にはほとんど味がないため、他の漢方薬よりも飲みやすい部類に入ります。
冬虫夏草を使った料理は数えるほどしかありませんが、もともと味も匂いもほとんどない食材なので、どんな料理にも入れられそうです。中華料理のようにスープに入れてもいいし、水で戻して炒め物にしたり、コーヒーなどのホットドリンクに入れたりしても良いかもしれません。粉末状に加工されたものであれば手間もかからず、いつもの食事を気軽に冬虫夏草入りにできますね。
もちろん冬虫夏草を食材としてしっかり味わいたい! という方はあまり手を加えずに食べても良いですし、自分で冬虫夏草(セミタケやサナギタケなど)を採取して食べることも可能です。
冬虫夏草は、その希少性から非常に高価な食材となっています。特に2000年頃からは価格が高騰し、ピークを迎えた2010年には1gあたり100ドル以上の価格で取引されていたほど。チベットでは冬虫夏草の乱獲が発生して天然物の入手が困難になり、市場には偽物や粗悪品が出回るようになってしまいました。
偽物の手法としては、虫の幼虫やサナギにキノコの菌を注射して人工的に発生させたものが有名ですが、虫ではなく穀類にキノコを生やしたものや、小麦粉などの粉を冬虫夏草と偽った紛い物なども確認されています。
そのほか、人体に有害な水銀を注入して重量をごまかそうとしている危険なものも流通しているため、冬虫夏草の偽物には警戒が必要な事態となっています。 冬虫夏草を購入する際には、それが信用できる商品なのかどうかを慎重に検討した上で選ぶようにしましょう。